「壮絶」、この一言では足りないぐらいの内容。
この本での出来事が実際のことだというのだから、
昔の日本軍は本当に恐ろしいとさえ思う。
そして、雪も恐ろしいと思った。
日露戦争にむけて雪中行軍を八甲田山で行った軍隊が、
ことごとく自然の力によって命を奪われていく姿は
ゾッとしたほど。
軍隊という組織の中での上下関係が露骨になるのも
いろいろと考えさせられます。
上司の誤った判断で、部下をはじめとする組織全体が
破綻していく様子は決して昔の話ではなく現在でも
十分にあてはまるものだと感じるはずです。
新田さんの山岳系に関する小説はこれで3冊目ですが、
自然の怖さを一番感じた作品でした。